イソトレチノイン(アクネトレント)
イソトレチノインはビタミンAの一種で、角化抑制作用、皮脂の分泌を抑える作用(皮脂腺縮小作用)、アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症作用などがあり、難治性ニキビに対して高い効果があります。日本では保険が適応されていませんが、欧米では中等度~重度のニキビ治療薬として30年以上使用されています。外用、内服、ピーリング、レーザーなどのニキビ治療のなかで最も効果が高い治療で、ニキビ治療の最後の切り札といわれています。リバウンドも少なく、ほとんどの方でニキビの改善が期待できます。
イソトレチノイン治療の適応となる方
- 中等度~重度の慢性的なニキビで悩んでいる方
- 保険治療でニキビが改善せず、再発を繰り返す方
- 下顎などに硬いしこりニキビ (嚢腫性ざそう)ができやすい方
- 赤み、陥凹などのニキビ痕が残りやすい方
- 酒さ、慢性膿皮症の方
内服できない方
- 妊娠中、妊活中、授乳中の方
- 成長期の方 (当院では18歳以上の方のみに処方いたします)
- 精神疾患のある方 (うつ病、うつ気質の方)
- 肝、腎機能障害のある方
- 中性脂肪、コレステロールの高い方
- 糖尿病の方
- 炎症性腸疾患のある方
- ビタミンA過剰症、ビタミンAでアレルギーを起こしたことがある方
- アレルギー体質の方 (アスピリン喘息、パラベン、大豆、ピーナッツアレルギーなどの方)
- レーシック手術の前後6か月の方
併用できない薬・治療
- テトラサイクリン系の薬剤 (ミノマイシン、ビブラマイシンなど)
- サプリメントを含むビタミンA製剤
- ステロイド内服
- 抗てんかん薬 (フェニトイン)
- 光治療、レーザー治療、ピーリングは内服期間中と治療後1か月は施行できません。
副作用
以下のような副作用がでる場合があります。軽度の乾燥症状などを除き、症状がでた場合は内服を中止してください。
- 皮膚の乾燥
- 口唇、口の中の乾燥、口渇
- 鼻出血 (鼻粘膜の乾燥)
- 脱毛
- 光線過敏症
- 眼症状 (ドライアイ、眼瞼炎、結膜炎、視力障害)
- 抑うつ状態、幻覚、幻聴、自傷行為、自殺企図
- 頭痛
- めまい
- 吐き気、下痢、嘔吐
- 倦怠感
- 息切れ、胸の圧迫感
- 過度の発汗
- 関節痛、筋肉痛
- 肝、腎機能障害
- 高脂血症
内服方法・注意点
- 1日1回1錠を食後に内服 (必ず食後に内服してください)
- 飲み忘れた場合は、次の日にその日の分量のみ内服してください (過剰摂取しないように注意してください)
- カプセル剤を開けたり、破損したものを服用しないでください。
- 1クールは4~6か月です。2クール目を希望される場合は、少なくとも2か月の休薬が必要です。
- 処方には事前に血液検査が必要になります (他院での採血結果をお持ちの方は持参ください)。
内服開始後も定期的に採血チェックが必要です(採血は自費で5,500円となります)。
- 内服中、内服終了後6か月は妊娠・授乳は絶対に避けてください。
女性は正常月経開始を2、3日確認してから、本剤内服を開始してください。
内服中に妊娠した場合、短期間のいかなる量であっても胎児に先天異常、流産、早産、死産の危険性が極めて高い薬剤です。 - 男性は、内服中、内服終了後少なくとも1か月は避妊をしてください。
- 内服中、内服終了後6か月は献血をしないでください。
- 治療開始後1か月間は、一過性のニキビの増悪(好転反応)が認められることがあります。2、3か月継続することでニキビの改善がみられます。
- 内服中は日焼けしやすくなるため、日焼け止めを使用し、長時間紫外線にあたらないように注意してください。
保管方法
ソフトゼラチンカプセルです。
- 夏場は溶けやすいため、冷蔵庫での保管も可能です。
- 25℃以上で変形する場合がありますが、品質には問題ありません。